築地から豊洲へ 何が変わるか
2018/10/31
2018年10月6日 築地市場が最後の業務を終えました。
83年間という長い年月で魚食の文化を支えてきて、仲卸も廃業という
話しも聞き時代の変化をすごく感じます。
私もよく場内のお寿司屋で、朝っぱらから観光客だらけの行列に並んで
食べていましたが、これぞ築地!という光景が見られないと思うと
なんだか寂しいですね。。(場外は引続きありますが)
豊洲に関しては、2018年10月11日より業務が始まります。
これまでに比べて何が変わるか、まとめていきたいと思います。
変化することへの不安
83年間も築地という場所で、市場機能を果たしてきたわけで、
場所も変わる
建物も変わる
市場内業務の流れも変わる
要は上手く機能するか不安ということです。
誰だって変化することは不安なはずです。
物流の勝手が変わり混乱するという話しを多く聞いています。
ただ、これからの市場という意味では、悪い事ばかりでは無いかと考えます。
開放的な築地 閉鎖的な豊洲
今までの築地は、83年前の環境と同じです。
建物も外部と仕切られた空間ではなく、開放的な場所(屋根があるだけのような)で
業務を行なっていたため、全く衛生的ではありませんでした。
特に温度面については、魚という生鮮食品を扱っていながら、温度をコントロール
できないというのは致命的でした。冬場なら(10度以下)であれば冷蔵庫と
同じくらいの温度になるので問題ありませんが、真夏になると早朝といえど
20度半ばくらいの暑さになるので、非常に衛生的に危険です。
現代にいながら、このような環境の中で普通に成り立っていたのが不思議で
なりませんでした。そこから各量販店に運ばれて、普通に刺身などで販売されるの
ですから。。。
魚は発砲スチロールに氷と一緒に入っていますが、
やっぱり気温が高いとすぐ溶けて、温くなるんです、、、
その点、豊洲に関しては逆のことが言えます。
閉鎖的な空間で業務を行い、一部を除いて温度管理を行うということです。
つまり今までより衛生的な環境で作業ができるということです。
最近では各産地・水揚げ港でも閉鎖的な空間で、今まで無法地帯のような
状態であった魚を扱う環境も少しずつ変わろうとしています。
買出し人にとって使い勝手が悪い市場
魚を豊洲市場で買い付ける方々にはちょっと不便な環境になるかもしれません。
東京という一大消費地にある市場ですので、
スーパーやレストランなどの食材買い付けで多くの人が訪れると思いますが、
築地と比べて、ちょっと買付けするのに苦労するかもしれません。
●築地と比べてアクセスの悪さ
●買出し人駐車場の少なさ
●青果と鮮魚の場所が離れており、買い回りしにくい
確かに不便になるかもしれませんね。。。
デメリットばかりが目立つ報道
移転前後より色々と豊洲の様子がテレビ、新聞に取り上げてられていますが、
どっちらかという悪い印象の報道が多いような気がします。
もちろん築地と豊洲にメリット、デメリットがあるように
場所が変われば、色々と問題が出てくるのは当然です。
デメリットばかりではなく、今後豊洲という箱に関わる方々がどのように
合わせるかというのが、一番大事ではないでしょうか。
今回の移転で、ベテランの仲卸さんが辞めたり、
魚というかなりの専門的な知識が必要な世界で
専門家が少なくなるというのは非常に残念なことだとは思います。
ただ、今までの設備が古すぎたというのは問題で、
新時代の水産業としては新たな一歩ではないかと思います。
水産流通はさらに多様化
また買出し人の問題でも、
最近はお店まで直接届けてくれる、魚ポチや八面六臂などサービスも多く出ており、
水産物流通はIT化が進み多様になってきています。
確かにスーパーなど、かなり多くの魚を扱うところにとっては、
各産地からの水産物を集めるという意味で、
今まで通り、これからも市場は必要になりますが、
小規模のお店にとっては、逆に新たな産直のようなサービスを
使って行くのもありだと思います。
豊洲に集まる魚だって、その日に上がった魚よりも前日や前々日に水揚げ
されたものが多いはずです。
九州から魚を運ぶにしても、トラックで運べば1日くらいはかかりますから。
それだったら、より鮮度が良いものを産地から直接ということは
買い付けする手間も省けるし、これからどんどん利用して欲しいです。
そもそも市場という機能は、日本では多種多彩な魚が水揚げされ
それを一箇所に集めて効率的に販売していくという機能があります。
そこが日本しかない文化というもので、部署も青物・太物など
魚種ごとに分けられています。(最近では部署のくくりなく業務しているようです)
海外の水産業を見ていくと、アメリカやノルウェーなどは、少ない魚種が大量に
水揚げされるというのが特徴で、アメリカのタラやノルウェーの大西洋サバなどが
有名ですよね。日本みたいに、市場に行けば多くの種類の魚が見れることが
非常に特別なんです!各地に遊びに行けば、滅多に見ない魚が食べれるように
世界的に見ても日本人の魚食文化は恵まれています。
日本の特徴的な水産業で、変わりゆく水産流通
これからの水産業が楽しみですね!