食べたいのは天然魚?それとも養殖魚?
2016/08/29
スーパーに買い物に行き、鮮魚コーナーに立ち寄ったら
2種類のブリのお刺身がありました。
1つは養殖ブリのお刺身、血合いの色が赤く鮮やかで、
脂ものっており、おいしそう。
もうひとつは天然ブリのお刺身、
確かに冬場のシーズンであるが、血合いの色が茶色っぽく
養殖ブリと比べると色目が悪い。
よく見かける光景ですが、あなたはどちらを選びますか?
これを選べば正解ということはないのですが、
消費者の方にとっては非常に悩むシュチュエーションだと思います。
ただ、見た目から養殖ブリを選ぶのがほとんどでしょう。
本来養殖ブリももともとは天然ブリの稚魚を育てたものです。
稚魚のときはモジャ子と呼ばれ、養殖業者の方が買い付けていき海上に設置している
いけすに入れて育てていきます。
それらにはさまざまな餌料を与え、自然界ではあまり摂取できないようなビタミンなどを
人為的に与え、見た目・味など人間の好みに合わせた魚に仕上げていきます。
なので、スーパーに並んであると、すごく美味しそうに見えるわけですね。
じゃあ天然は何??
養殖だけ食べていけばいいじゃん??
って思ってしまいますよね。
天然ブリで有名なのは、富山県西部、氷見で上がる寒ブリですね。
高値の場合はキロ8000円ほどで取引されるくらい高級魚になります。
だいたい養殖で売っているブリは、お刺身用の柵で100g398円くらいですから、
歩留まりが50パーセントくらいとしても2000円。
つまり4倍くらいの値段ということですね。(本当は浜値とか市場値とか複雑ですが。。)
ただ、これだけ高いということには、もちろん理由があります。
人間が食べて美味しいものだからです。
なぜ天然寒ブリはおいしいのか?
ブリは日本全国をぐるぐる回る回遊魚です。
①産卵は九州の西沖(五島列島周辺)で行います。
3月から5月の間は、九州ではブリがバカどれする時期です。
このとき漁獲されるものは、とにかく脂が少なく、お世辞にもおいしいといえないくらいの品質です。
なので、加工食品の業者や缶詰の業者が買い付けていき、
スーパーで並んでいるものもありますが、
非常に安く販売されています。
②日本海側を北上
九州で生まれたブリ(出生魚だからイナダ?)は日本海側を北上していきます。
なので、夏くらいまでは日本海側で、イナダ・ヤズと言われるサイズの水揚げがあります。
この時期の魚はとにかく餌を食べて、成長していく時期になりますので、
小型ながら意外と脂がある魚も水揚げされます。
③北海道に到着
北海道まで北上すると、産卵シーズンに向けて餌を蓄えていきます。
つまり、非常に脂がのっている状態。
最近では秋口にブリの水揚げが北海道付近であがりますが、
食べて見ると非常に脂があり、身の色も真っ白でびっくりするくらいです。
どちらかというと、養殖っぽいぎとぎとな魚になっています。
④南下し氷見にベストシーズンに到着
北海道でお腹いっぱいに餌を食べたブリは、南下を始めます。
そして12月冬場のナイスタイミングに氷見に到達し
定置網にかかるわけですね。
北海道は脂ぎとぎとで、食べ続けると気持ち悪くなるくらいですが、
氷見で漁獲される時は、お上品な味になります。
こんなブリを食べれる地域は羨ましいですよね!
養殖と比べると脂の質がまったく違う
これを食べ比べたことがある人は、
本物の魚好きだと思いますが、ハイシーズンの天然ブリは
脂の質がすばらしいです。
養殖であれば、人為的に餌をばくばく与えられ
生け簀のなかにいるから、あまり運動できない。
つまり養殖で脂がのっているものはただのメタボブリということですね。
そして、わかる人はわかりますが脂がちょっと臭い。。。。
逆に天然ものは、自然界の荒波(特に冬場の日本海はすごく波が荒いイメージですよね?)にもまれ
しっかりと脂が蓄えられているので、とにかく見質が上質で
養殖と比べると臭くないです。
結果的にはベストシーズンだけ天然物食べれば?
話は戻りますが、なぜ養殖魚が出てきたかというと、
年間供給が可能だからです。
天然の魚であれば、時化の時はもちろん漁にでられませんし、
スーパーに魚が並ばないということもありえます。
ただ、今のスーパーでは何かしら、魚が並んでいますよね。
それはほとんどが養殖と冷凍だからです。
この画像は近所の居酒屋さんでお刺身盛りを頼んだ時の話ですが、
ブリ・サーモン・ヒラメ→養殖
タコ→冷凍・天然
天然の生の魚は使われていないですね。
それだけ、スーパーや居酒屋さんでは、
メニューに載せることが難しく大変で生の天然は扱いが難しい
という問題があるのでしょう。
養殖魚は年中ある程度の品質をキープしていて、
あまり味が変わらないというのが特徴ですが、
天然場合は、非常においしい・まあまあおいしい・まずいという
時期によってさまざまな評価をされます。
だったら、まずいという時期は養殖魚を食べて、
ハイシーズンだけは天然魚を食べるということをやれば良いのではないでしょうか?
年配の方はとにかく天然物志向が強いです。
天然物だからすばらいしい品質と思っていることが多いようですが、
それも完全に間違っています。
ブリに関して言えば、春場の天然物のブリは脂はまったくないわ
虫はいっぱいいるわ、非常に悪い状況です。
こういうときこそ養殖魚というものがあるわけですし、
たとえこの時期に水揚げがあったとしても適材適所で使われています。
脂がないものは缶詰や加工原料として優れているということです。
今一度魚の旬の時期について調べてみませんか?
スーパーに行けばいつも決まった魚しかないので、
知らない方も多いかもしれませんが、旬を知ることでさらに魚を美味しくいただけるのでは
ないでしょうか?
旬のうまい魚を知る本【電子書籍】[ 野村祐三 ]
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ちなみに、これからの秋にかけてのシーズンはカンパチです。
最近では天然ものもめっきり減ってしまいましたが、
見かけたら食べてみてくださいね。